ダブリンからベルファストへ向かう途中、スマートフォンが国境を越えることがあります。すぐには気づかないかもしれませんが、国境を越えると適用されるローミングのルールが変わる場合があります。
これが、英国でのローミングが多くの旅行先と異なる点です。EU域内では、EUの料金プランを利用しているスマートフォンは、一般的に各国で共通の「Roam Like at Home」の仕組みに基づいてローミングを利用できます。しかし、英国に入るとEU全体に適用されるこのルールの対象外となるため、その後の扱いは契約している通信事業者によって異なります。また、英国とアイルランドは陸続きの国境を持つ島に位置しているため、気づかないうちに国境を越えやすいという特徴もあります。
結論:通常、スマートフォンは英国でも利用できますが、追加料金が発生するかどうかは、契約している通信事業者と料金プランによって異なります。EUの「Roam Like at Home」は、現在、英国を自動的に対象としていません。ただし、英国を引き続き対象に含めている通信事業者もあります。出発前に、契約している通信事業者のローミング対象国一覧で「英国(United Kingdom)」を確認しておきましょう。
イギリスでのローミングは無料ですか?国境で何が変わったのですか?
「Roam Like at Home」は、EU加盟27か国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、ウクライナ、モルドバを対象としています。欧州委員会のローミングに関する公式ページでは、英国について、この制度は適用されなくなったと明記されています。ただし、一部の通信事業者は引き続き同様の特典を提供しているため、旅行前に契約先へ確認するよう案内しています。つまり、現在では「EUでのローミング」と「英国でのローミング」は、それぞれ別に確認する必要があります。
EUのローミング規則は英国との国境で適用されなくなります。国境の向こう側でどのような条件が適用されるかは、契約先の通信事業者によって異なります。
実際にどうなるかは、どの通信事業者から請求されるかによって変わります。Wiseが2026年1月にアイルランドの通信事業者3社を調査したところ、同じ海峡を渡る旅行でも、3社で異なる結果となりました。
| アイルランドの通信事業者 | イギリスでの利用条件 |
|---|---|
| Three Ireland | 無料利用枠なし。ローミングデイパスは1日5.99ユーロで、2GB利用可能 |
| Vodafone Ireland | 後払い契約の利用者は、国内データ通信容量を利用可能 |
| Eir | 英国を「Roam Like at Home」サービスの対象として扱う |
出典:Wise。各通信事業者の公式ページは2026年1月16日に最終確認されています。この一覧にない通信事業者でも、同様に利用条件が分かれると考えておきましょう。
すべての自国のSIMカードが同じ条件になるわけではありません。Verizonの公式対象国一覧では、英国の料金は1台あたり1日12ドルで、アイルランドと北アイルランドも同じく1日12ドルです。米国のSIMカードなら、国境を越えても料金条件は変わりません。一方、EUのSIMカードでは、大きく変わる可能性があります。
英国への3つのルート、3つのローミングチェック
どこにいても、適用されるルールを決めるのは契約先の通信事業者です。そして、どのルートで移動するかによって、ルールが切り替わる場所が変わります。
3つのルート、それぞれに確認ポイントがあります。飛行機での入国、ヨーロッパ大陸からの移動、ダブリンとベルファスト間の国境越えです。
ロンドン、エディンバラ、またはカーディフに到着
最もシンプルなケースです。出発空港でそれまでのルールを離れ、英国の空港に到着すると英国のルールが適用されます。確認すべきことは1つだけです。契約先の通信事業者が、英国を「ヨーロッパ」といった曖昧な区分ではなく、「英国」としてどのように扱っているかを確認しましょう。イングランド、スコットランド、ウェールズを旅行するなら、O2とEEの回線を利用する英国eSIMで対応できます。料金の比較は次のセクションで紹介します。
ヨーロッパ大陸から英国へ移動する場合
1日の途中でローミングのルールが切り替わるのが、このケースです。EU加盟国ならどこでも国内と同じ条件で使えるEUの料金プランでフランスに1週間滞在し、その後、列車でロンドンへ向かうとします。午前中はEUのルールが適用されますが、午後からは英国に対して契約先の通信事業者が定める条件に従うことになります。EU側のローミングについては、イタリアのローミングガイドで詳しく解説しています。
フェリーには、もう1つ注意点があります。欧州委員会は、外洋ではスマートフォンが船内の衛星通信ネットワークに接続する可能性があると警告しています。衛星通信は「Roam Like at Home」の対象外であり、通常、高額な追加料金が発生します。慎重に利用するなら、港に到着するまで機内モードにしておくのがおすすめです。
複数の国を移動するなら、国ごとに別々のプランを用意するより、地域対応のプランを1つ利用するほうが便利です。ヨーロッパeSIMとヨーロッパ無制限eSIMはいずれも英国を対象としているため、国境を越えても同じ回線を使い続けられます。まずは、旅行ルート上のすべての国が対象エリアに含まれているか確認しましょう。ヨーロッパでスマートフォンを使う方法とヨーロッパeSIMの購入ガイドでは、その他のポイントも解説しています。
ダブリンからベルファストへ:国境を越えるとローミング条件は変わる?
北アイルランドは英国の一部ですが、アイルランド共和国は英国に含まれません。バス、列車、車で両地域の間を移動しても途中で停車する必要はありませんが、アイルランドのSIMカードを利用している場合、国境の両側でローミング条件が異なることがあります。ベルファスト、コーズウェイ・コーストを巡ってダブリンに戻るルートは計画しやすい旅行コースですが、このルートでは国境を2回越えることになります。
アイルランド共和国の南側だけを旅行するなら、アイルランドeSIMで、1日あたりのデータ容量型、総データ容量型、無制限プランから選べます。国境を越える予定があるなら、アイルランドと英国の両方をカバーするヨーロッパeSIMを1つ利用すると、国境でプランを切り替える必要がありません。国境を越えると、ネットワークも自動的に切り替わります。
英国のローミング料金とプリペイドeSIMを比較:どこで損益分岐点を迎える?
英国eSIMの料金を、3つの旅行日数について、1日あたりのデータ容量型プランと総データ容量型プランで比較します。
| 旅行 | 1日1GBプラン | トータルデータプラン |
|---|---|---|
| 3日間 | 3.90ドル | 3.50ドル(合計3GB) |
| 7日間 | 5.90ドル | 7.90ドル(合計10GB) |
| 15日間 | 9.90ドル | 15.90ドル(合計20GB) |
各プランの料金を旅行日数で割ると、1日1GBプランの1日あたりの料金は、3日間の旅行で約1.30ドル、7日間で約0.84ドル、15日間で約0.66ドルになります。これが、契約先の通信事業者の料金と比較する際の目安です。Three Irelandのデイパスは、1週間利用すると合計41.93ユーロになります。Verizonの1日12ドルのプランなら、同じ1週間で1台あたり84ドルです。通貨は異なりますが、為替レートを考慮しても埋められないほどの差があります。
ただし、2つの点に注意が必要です。1日1GBプランでは、毎日1GBまで高速データ通信を利用でき、その後は通信速度が128kbpsになります。そのため、動画をたくさん視聴したり、テザリングを頻繁に利用したりする日は、より大容量のプラン、または無制限プランが適しています。無制限プランの詳細は各プランのページをご確認ください。また、損益分岐点を比較する意味があるのは、契約先の通信事業者から追加料金を請求される場合に限られます。すでに英国を国内と同じ条件で利用できるなら、料金が0円の既存プランより安いプリペイドプランはありません。その場合は、今のプランをそのまま使いましょう。ほとんどの時間をWi-Fi環境で過ごす日帰り旅行でも同様です。
英国旅行用eSIMで代替できるもの・できないもの
英国旅行用eSIMで代替できるのは、モバイルデータ通信です。地図アプリ、配車アプリ、メッセージアプリの利用に加え、すべてのプランでテザリングも利用できます。一方、電話番号を置き換えることはできません。英国向けプランはデータ通信専用で、英国の電話番号や音声通話・SMSは含まれていません。ただし、WhatsApp、iMessage、FaceTimeは、普段使っている電話番号のままデータ通信を通じて利用できます。音声通話、SMS、認証メッセージを受信できるよう、自国のSIMカードも利用可能な状態にしておき、eSIMをデータ通信回線に設定しましょう。海外でSMSを受信できるか、また料金が発生するかどうかは、契約先の通信事業者のローミングおよびSMSのルールによって異なるため、出発前に確認してください。
このeSIMはO2とEEの回線を利用します。デュアルSIMの設定方法については、イタリアのローミングガイドで解説している手順と同じです。eSIM回線ではデータローミングをオンにし、自国のSIM回線ではオフにしてください。
O2とEEの回線を利用したプリペイドデータ通信。本人確認書類は不要です。出発前にインストールしておけば、英国で初めてネットワークに接続した時点でプランの利用が開始されます。
イギリスのeSIMを見る→
国境を越えなくても発生するローミング
もう1つ、これまでとは逆のケースにも注意が必要です。Ofcomは「意図しないローミング」を、実際には別の国にいないにもかかわらず、スマートフォンが他国のネットワークに接続してしまうことと説明しています。これは国境付近や沿岸部で発生しやすいため、アイルランド島の国境付近では特に注意が必要です。この問題に関するOfcomの規則は、2024年10月1日に施行されました。Ofcomのガイダンスでは、意図しないローミングが発生するリスクがある地域として北アイルランドが挙げられています。ただし、この保護措置の対象は英国の通信事業者を利用する顧客です。そのため、海外からの旅行者については、契約先の通信事業者によって対応が異なる場合があります。まだ英国にいるのに、スマートフォンに海外のネットワーク名が表示された場合は、ネットワークの自動選択をオフにして、英国のネットワークを手動で選択してください。
英国ローミングとeSIMに関するよくある質問
EUのローミングはイギリスでも利用できますか?
自動的には適用されません。EUの制度は英国との国境で適用されなくなり、英国でどのようなサービスが利用できるかは、契約先の通信事業者の判断によります。「ヨーロッパ」や「EU」という表示だけで英国も対象に含まれていると考えず、通信事業者のローミング対象国一覧で「英国(United Kingdom)」と明記されているか確認しましょう。
アイルランドのSIMカードは北アイルランドでも使えますか?
北アイルランドは英国の一部であるため、適用されるのはアイルランド国内の利用条件ではなく、英国での利用条件です。契約プランが英国を対象としていれば、その条件が適用されます。対象外の場合は、国境を越えた時点で追加料金が発生する可能性があります。また、国境付近では移動していなくてもスマートフォンがアイルランドのネットワークに接続することがあるため、ネットワークを手動で選択すると安心です。
英国eSIMではデータローミングをオンにする必要がありますか?
はい。eSIM回線ではデータローミングをオンにしてください。旅行用eSIMは提携先のネットワークを通じて接続するため、ByteSIMの回線ではデータローミングを有効にする必要があります。自国のSIM回線では、契約先の通信事業者のローミングを意図的に利用する場合を除き、オフにしておきましょう。また、モバイルデータ通信に使用する回線としてeSIMが選択されていることも確認してください。
英国eSIMのプランはいつから開始されますか?
多くのプランは購入時ではなく、eSIMが英国のネットワークに初めて接続した時点で開始されます。そのため、事前にインストールしても、通常はプランの利用開始にはなりません。ただし、指定した日付やByteSIMアプリから利用を開始するプランもあります。開始条件は各プランの詳細ページで確認してください。
旅行がプランの有効期間を超える場合はどうすればよいですか?
ByteSIMアプリから更新やデータ容量の追加ができるプランもあります。一方、現在のプランが終了または期限切れになった後、新たに購入する必要があるプランもあります。購入前に各プランの詳細ページを確認してください。
自分のスマートフォンは英国eSIMに対応していますか?
お使いのスマートフォンがeSIMに対応しており、SIMロックが解除されている必要があります。購入前に、eSIM対応端末一覧でお使いの機種を確認してください。
出発前に確認しておきたいこと
契約先の通信事業者のローミング対象国一覧で「英国(United Kingdom)」を探し、国名を指定して利用条件を確認しましょう。また、アイルランド共和国と北アイルランドの間、あるいはフランスとイングランドの間で、利用条件が変わるかどうかも確認しておくと安心です。ローミングが無料でない場合は、上記の料金比較を参考に、プリペイドプランのほうがお得になるか判断できます。複数の国を巡る旅行には、ヨーロッパeSIMもご利用いただけます。